(15-10-22投稿 15-10-00更新)
そうは言ったものの
目の前の
巨大パネルの室内の景色が
パッと立ち上がって来ては
下がり
また 立ち上がっては
下がる
これが超高速で
繰り返される
よく言う
画面が揺れるどこの
騒ぎではない
「画面が壊れ続ける」と
言った方が
より近いと思われる
その間
嗚咽を漏らしながら
手はしがみつけるところへ
しがみついて
心の底から
「早く終わってくれ！」と
懇願している
強い心臓に
産んでくれた母親には
感謝である
本当に
この耳石の欠片や
耳石粉達は
私が眠りに
つかない限りは
手加減する
つもりはないらしい
最悪
溶け出て行かない
耳石を
無くすには
切開して
一旦
三半規管から
リンパ液ごと
抜き
リンパ液だけ
戻すのだろうか？
その場合
無論麻酔はするだろうから
その間の夢は
「目眩で揺れはしないか？」
今は
液の中に
タンポポの綿毛のように
浮かぶ耳石が見える
綿毛が壁を
さっと撫でるだけで
私は身を硬くし
構えてしまう
早く
普通の生活に
戻りたい
普通の身体に！
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